米連邦航空局（ＦＡＡ）などによると、首都ワシントン近郊のロナルド・レーガン・ナショナル空港付近で２９日午後９時（日本時間３０日午前１１時）ごろ、着陸態勢に入っていたアメリカン航空の小型旅客機と米陸軍のヘリコプター「ブラックホーク」が上空で衝突した。旅客機とヘリはポトマック川に墜落した。ＣＢＳテレビは１８人の遺体が見つかったと報じた。

　旅客機には乗客６０人、乗員４人、ヘリコプターには米軍の３人が搭乗していた。消防当局などが約３００人態勢でダイバーなどを動員して捜索活動を続けている。３０日未明に記者会見した消防当局幹部は、捜索には「数日かかる」との見通しを示した。会見に同席したワシントンＤＣのバウザー市長は「すべての人員が人命救助に集中している」と述べた。

　米紙ワシントン・ポストは、当局者の話として「川から複数の遺体を引き上げ、近くの警察施設に移送した」と報じた。３０日未明時点で生存者は確認されていない。

　ＮＢＣニュースによると、旅客機の機体は二つに分裂し、ヘリは逆さまの状態で川に落ちているという。

　ＦＡＡによると、旅客機はカナダ・ボンバルディア社のＣＲＪ７００で、中西部カンザス州ウィチタからレーガン空港に向かっていた。ＣＮＮによると、ブラックホークは訓練飛行中だった。管制官がヘリの操縦士に「ＣＲＪが視界に入っているか」「ＣＲＪの後方を通過しなさい」と指示した後に衝突が発生。空港によると、衝突当時、天候や視界は良好だった。

　空港は全ての離着陸を停止し、着陸予定だった便はワシントン郊外の別の空港に行き先を変更した。発着の再開は早くても３０日午前１１時になる見通しだ。

　トランプ米大統領は３０日未明、自身のソーシャルメディアに「視界は良好な夜で、旅客機のライトはついていた。なぜヘリは上昇、下降、転回しなかったのか」と投稿。「（事故は）防げたはずだったように思える。悪い状況だ」とヘリや管制官の対応を批判した。

　レーガン空港はポトマック川沿いにある首都の主要空港の一つだ。周辺には国防総省があり、軍のヘリコプターも頻繁に飛行している。【ワシントン西田進一郎、ニューヨーク八田浩輔】