韓国の山火事被害が深刻 住民18人死亡 収束見通せず

2025/03/26 08:00 

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 韓国南東部・慶尚北道(キョンサンプクド)で続く大規模な山火事で、25日夜から26日未明までに住民18人の死亡が確認された。逃げ遅れた高齢者が多いとみられる。防災当局は慶尚北道安東(アンドン)市や火災が起きている周辺の郡に住む住民に対し、避難を呼びかけている。多数の住宅が全焼し、国指定の文化財にも被害が出ている。

 韓国では空気の乾燥と強風のため、21日から各地で山火事が同時多発的に発生。22日には慶尚南道(キョンサンナムド)で消火活動中の消防隊員ら4人が死亡している。この4人を合わせると一連の山火事での死者は22人となった。

 特に22日に火災が始まった慶尚北道の被害が深刻で、住民の死者も集中している。聯合ニュースによると、安東市で25日夜、70代の女性が住宅の庭で死亡しているのが見つかった。煙を吸い込んで窒息したとみられるという。青松(チョンソン)郡では25日夜に60代の女性が焼死体で発見された。防災当局によると、これに英陽(ヨンヤン)郡、盈徳(ヨンドク)郡を加えた1市3郡で、26日午前までに計18人の死亡が確認された。

 また住宅など257施設が被害を受けた。少なくとも約2万3500人が避難生活を送っている。法務省は26日、被災地にある刑務所から受刑者ら約500人を他地域の施設に避難させたと明らかにした。残り約3000人も移送するという。

 文化財の被害も相次いでおり、25日には新羅王朝時代の7世紀の創建とされる孤雲(コウン)寺が全焼し、同寺にある国指定文化財の延寿(ヨンス)殿と駕雲(ガウン)楼も焼失した。被災地一帯には、朝鮮王朝時代の町並みが保存された「安東河回(ハフェ)村」や、儒学者の教育施設「屏山(ビョンサン)書院」などの世界遺産もある。国家遺産庁は25日、文化財の危機を呼びかける警報で、4段階で最も厳しい「深刻」を初めて発令した。

 山林庁の25日夜の発表によると、被災面積は慶尚北道だけで約1万5100ヘクタールに達している。消防や軍などが懸命に消火活動に当たっているが、山火事が収束する兆しは見せていない。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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