韓国で3人目の大統領代行 首相と副首相が相次ぎ辞任、混乱に拍車

2025/05/02 09:14 

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 韓国の大統領代行の韓悳洙(ハン・ドクス)首相が次期大統領選(6月3日投開票)に出馬するために首相職を辞任したことを受け、李周浩(イ・ジュホ)社会副首相兼教育相が2日、大統領代行に就任した。「非常戒厳」を宣布した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(当時)が昨年12月に弾劾訴追されて職務停止となって以降、これで大統領代行は3人目。

 李氏は新大統領が決まるまでの間、国政運営を担う。2日朝、政府庁舎に出勤し、記者団に「国会や閣僚とよく議論し、国政を安定的に運営することに全力を尽くす」と述べた。

 李氏は国会議員などを歴任した後、保守系の李明博(イ・ミョンバク)政権で教育科学技術相(後の教育相)を務めた。尹政権下の2022年11月、社会副首相兼教育相に就任した。

 韓氏の辞職に伴い、憲法の規定に基づき崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相が大統領代行に就任する予定だった。だが国会で多数派の野党が1日夜に崔氏に対する弾劾訴追案を提出したことを受け、崔氏は辞任。このため李氏が憲法の規定で大統領代行に就任した。

 米国との関税交渉など内外に課題が山積する中で、首相と経済副首相が不在となり、混乱に拍車がかかっている。崔氏は、米国との関税協議を統括するなど大統領不在の中で政府の屋台骨を支えてきただけに、聯合ニュースは「経済司令塔が不在となった」と伝えた。崔氏は1日夜、「内外の経済環境が厳しい状況で職務を続けられなくなり、国民の皆さまに申し訳ない」とのコメントを発表した。

 韓国では尹氏の職務停止に伴い昨年12月14日、韓氏が大統領代行に就任。だが韓氏も同月27日に国会で弾劾訴追され、崔氏が大統領代行となった。今年3月24日に憲法裁判所で韓氏に対する訴追請求が棄却され、韓氏は大統領代行に復帰していた。

 野党側は1日夜の崔氏に対する弾劾訴追の理由で、大統領代行だった昨年12月末に、国会が選んだ憲法裁判所の判事候補を任命せず、国会の権限を侵害したと主張した。崔氏の辞任を受け、国会は弾劾案の採決を中止した。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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