豪クイーンズランド州、未成年犯罪を厳罰化 「10歳で終身刑」も

2025/05/22 19:35 

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 オーストラリア北東部クイーンズランド州が犯罪を犯した未成年者に対する厳罰化を進めている。10歳の子供にも終身刑を科せる規定があり、国連の人権専門家は「子どもの基本的人権に反する」と強く反発している。

 クイーンズランド州は昨年12月の州法改正で、殺人や過失致死、強盗など13の重大犯罪で有罪判決を受けた場合、被告が18歳未満の未成年者であっても成人と同じ終身刑や長期刑を科すことを決めた。

 州議会与党は「adult crime,adult time(成人犯罪には成人刑罰)」を掲げており、同州の刑事責任年齢である10歳からでも終身刑になる可能性が生まれた。従来は未成年者の場合、罰金や社会奉仕活動を優先し、「拘束は最後の手段」とする原則があったが、それも撤廃された。

 さらに州議会は今月21日、適用範囲をレイプや殺人未遂、放火などにも広げる再改正案を可決した。

 これに対し、州の法曹協会など専門家は「厳罰化は未成年の犯罪を減らすより悪化させる可能性がある」と警告。国際人権団体なども、「児童に関する国際的義務に違反する可能性がある」と訴え、特に貧困層が多い先住民の子どもに影響を及ぼすと指摘していた。

 さらに国連の人権専門家らは州議会での審議中、議員に可決しないよう求める公開書簡を送ったが、クリサフリ州首相は記者会見で「国連は私をコントロールできない」と反論していた。

 豪州では近年、未成年者による重大事件が相次いで報道され、厳罰化に乗り出す州が増えている。今年3月には南東部ビクトリア州でも、未成年者への「拘束は最後の手段」とする原則が撤廃された。【バンコク国本愛】

毎日新聞

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