習主席「大国」の役割アピール狙う 「上海協力機構」首脳会議

2025/08/31 20:36 

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 中国とロシアが主導する国際枠組み「上海協力機構(SCO)」の首脳会議が8月31日、中国・天津で開幕した。プーチン露大統領やインドのモディ首相も天津入り。加盟10カ国など関係国のほか、非加盟のベトナムなども加えた計20カ国以上の首脳や国際機関トップが出席し、過去最大規模となる。

 中国の習近平国家主席は持論の「人類運命共同体」の理念を訴え、保護主義的な政策に傾倒するトランプ米政権と一線を画し、SCOの場で多国間主義を進める「大国」としての役割をアピールしたい考えだ。

 中国は習氏が唱えるこの理念を新たな国際秩序形成に向けた外交の柱の一つに位置づける。トランプ氏の「米国第一主義」に不満を強めるグローバルサウス(新興・途上国)が集まるSCOは、中国主導の新秩序形成をアピールする格好の機会となる。

 中国外務省の馬朝旭次官は29日の記者会見で、人類運命共同体の構築について「一部の西側諸国が誇る『普遍的価値』を超越し、より良い世界を築くための最大公約数を形成するものだ」と強調した。30日から31日にかけて国連のグテレス事務総長や各国の首脳と会談した習氏も、「運命共同体」構築の重要性を繰り返した。

 SCOは、中露と中央アジア4カ国が2001年、上海での首脳会議を機に創設。17年にインドとパキスタン、23年にイラン、24年にベラルーシが加わった。モンゴルとアフガニスタンがオブザーバー国、エジプトやトルコなど14カ国が対話パートナー国となっている。

 今回はオブザーバー国や対話パートナー国となっていないマレーシアやベトナム、ラオスの首脳も出席。インドネシアのプラボウォ大統領も出席の予定だったが、国内で大規模デモが広がっていることを受けて急きょ欠席を決めた。

 習氏は31日にモディ氏と会談した。また、習氏はプーチン氏とも会談した。タス通信によると、最近の米露首脳会談の結果などを話したという。プーチン氏は北京市で9月3日に行われる抗日戦争勝利80年の軍事パレードにも参加する。パレードには北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記も出席を予定している。【天津・畠山哲郎】

毎日新聞

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