中国とインドが首脳会談 習政権は米印関係に「くさび」狙う

2025/08/31 20:36 

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 中国の習近平国家主席は31日、上海協力機構(SCO)首脳会議を開催する中国・天津で、インドのモディ首相と会談した。両首脳の会談は2024年10月にロシアで実施して以来で、モディ氏の訪中は7年ぶり。20年に起きたヒマラヤ山脈付近の国境係争地での衝突で悪化した関係の改善を確認した。

 中国国営新華社通信によると、習氏は「両国はグローバルサウス(新興・途上国)の重要な一員だ」と指摘。中印両国を竜と象にたとえ「『竜と象が共にタンゴを踊る』ことは正しい選択だ」と述べた。係争地の平和維持に努め、多国間協力を推進していくべきだと主張した。

 一方、インドメディアによると、モディ氏は係争地について、双方の軍が撤収したことで「平和と安定の雰囲気が作り出された」と評価。両国を結ぶ直行便が再開することなどにも触れ「我々は関係前進に尽力していく」と語った。

 インドはロシア産原油の購入などを理由にトランプ米政権から50%の高関税を発動され、米国との関係に苦慮している。中国はこうした機に、インドと関係回復を進め、日本、米国、オーストラリア、インド4カ国の協力枠組み「クアッド」などを通じた連携にくさびを打ち込みたい考えだ。

 ただ、係争地を巡る問題も抜本的な解決に至ったわけではなく、今後もインドは中国に対して一定の「距離」を保つとの見方は強い。モディ氏は9月3日に北京で行われる軍事パレードには参加しない方針だ。【天津・畠山哲郎】

毎日新聞

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