ミャンマー民主派、アウンサンスーチー氏と連絡取れず 詳細は不明

2025/12/11 19:05 

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 クーデターから5年近くたつミャンマーで、28日から総選挙が行われる。選挙後に軍事政権は「民政移管」を主張するとみられるが、民主派指導者アウンサンスーチー氏(80)ら多くの政治家が拘束されたままだ。クーデター後に民主派が樹立した「国民統一政府(NUG)」のネイフォンラット報道官は、「選挙後も解放される可能性は低い」との見方を示した。弁護士もスーチー氏と連絡が取れず、収監場所や健康状態は依然として不明だという。

 「スーチー氏の政治的な影響力は衰えていない。それを恐れて解放しないだろう」。ネイフォンラット氏は毎日新聞とのインタビューでこう語った。ミンアウンフライン国軍最高司令官が実権を握る限り、スーチー氏は厳しい管理下に置かれ続けるとみている。国軍はスーチー氏に対し、民主派の武装組織「国民防衛隊(PDF)」を説得して戦闘停止を促すよう求めていたという。ネイフォンラット氏は「我々も長く連絡が取れず、心配している」と述べた。

 スーチー氏はクーデター直後に拘束され、特別法廷で汚職や国家機密の漏えいなど19件の罪で有罪となり、計33年の刑を言い渡された。審理中は首都ネピドー周辺の施設に収容されていたが、2022年6月に刑務所へ移された。翌年、恩赦で27年に減刑されたものの、高齢のスーチー氏にとっては事実上の終身刑に近い。後に別の施設に移されたとの情報も流れたが、詳細は明らかになっていない。

 クーデター後に確認されている外国要人との面会は、23年7月に国軍の許可の下で行われた、タイのドーン副首相兼外相(当時)との会談のみだ。面会は1時間以上行われ、ドーン氏は東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議で「スーチー氏は心身ともに健康だ」と説明。事態打開に向け「前提条件のない対話を支持する」とのスーチー氏のメッセージも伝えたという。

 今年6月に80歳になったスーチー氏には、健康状態への懸念もある。英国に住む次男のキム・エアリス氏は交流サイト(SNS)に、「心臓の合併症の悪化に苦しんでいる。専門医の診察を求めてきたが、拘束されている場所も治療を受けているのかも分からない」と投稿していた。【バンコク武内彩】

毎日新聞

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