ウクライナ「安全の保証」、NATO条約第5条に類似で協議 米当局

2025/12/16 10:10 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ロシアとウクライナの和平交渉を主導するトランプ米政権の当局者は15日、ロシアによるウクライナへの再侵攻を防ぐための「安全の保証」について、北大西洋条約機構(NATO)条約第5条に類似した形での提供を協議していると明かした。第5条は加盟国の集団防衛を定めている。当局者は、関連の協定などは米連邦上院での承認が必要になるとの見方も示した。

 米国のウィットコフ中東担当特使とクシュナー元大統領上級顧問は14~15日、ベルリンでウクライナのゼレンスキー大統領や欧州側と会談した。米当局者によると、ゼレンスキー氏との会談は計8時間に及んだという。トランプ米大統領は15日、ゼレンスキー氏や欧州の首脳と電話協議したとした上で、合意に「これまでで最も近づいていると思う」と語った。

 米当局者は記者団に対し、安全の保証に関して「大きな進展があった」と強調。合意の基盤として、第5条のような「強力な保証」と、「強力な抑止力」を確立することだと説明した。ただ、米側が安全の保証にどのように関与するかの詳細は明かさなかった。「ロシアがすべてを受け入れると確信している」とも主張した。

 一方で、安全の保証の提案が「永遠にテーブルにあるわけではない」とも述べ、ウクライナに迅速に合意するよう求めた。

 また、懸案事項のうち「90%は解決した」と指摘。ただ、領土を巡る問題やロシアが占拠するウクライナ南部のザポリージャ原発の扱いについて議論が続いているとも明かした。

 米当局者は、米とウクライナが今週末に米南部フロリダ州で再び協議すると説明し、必要に応じて訪露する考えも示した。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

国際

国際一覧>