トランプ政権、エプスタイン事件資料公開でピリピリ 論点ずらし画策
少女らへの性的虐待罪などで起訴後に死亡した米富豪、エプスタイン氏の問題を巡り、トランプ政権が世論への影響に神経をとがらせている。トランプ大統領に関連する資料が順次、公開される見通しだからだ。
司法省は、文書にトランプ氏を巡る「虚偽」の資料が含まれていると強調。政権はエプスタイン氏と民主党のクリントン元大統領の関係に焦点を当てることで、論点をずらそうとしている。
23日に公開された資料には、勾留されたエプスタイン氏が2019年に知人に宛てたとされる手紙があった。「我々の大統領も、年ごろの若い女性に対する愛を私たちと共有している」などと手書きで書かれていた。当時の大統領はトランプ氏だ。
司法省は、手紙の筆跡がエプスタイン氏と異なるほか、同氏が収監されていた施設とは異なる州から投函(とうかん)されたことから「連邦捜査局(FBI)が手紙を偽物と確認した」などと主張。手紙を含め、資料にはトランプ氏に関する「虚偽で扇情的な主張」が含まれていると指摘した。
ただ、公開された資料にはエプスタイン氏の自家用ジェット機にトランプ氏が「少なくとも8回搭乗した」ことを示す文書もあった。トランプ氏はこれまで「一度も乗ったことがない」と否定していた。
過去にエプスタイン氏と親交のあったトランプ氏は、不正への関与を全面否定している。
エプスタイン氏は19年に刑事施設で死亡。事件の真相解明を求めた被害者の声を受け、連邦議会は11月、エプスタイン氏に関する資料を12月19日までに全面公開するよう司法省に義務付ける法律を可決し、トランプ氏も署名を余儀なくされた。
ただ司法省は24日、新たに多数の資料が見つかり、全面公開には数週間かかる可能性があると発表した。資料の公開の遅れや黒塗りの文書が多いことへの批判が、民主党を中心に広がっている。
政権側は資料から「痕跡」を消そうと必死になっている模様だ。
20日には公開された資料から、司法省がトランプ氏の複数の写真を削除したことが発覚。同省は「被害者保護の観点から一時的に削除した」と釈明し、再掲載を余儀なくされた。
一方、政権はエプスタイン氏と親交があったクリントン氏について積極的に言及している。
ホワイトハウスのジャクソン報道官は、エプスタイン氏の所有する施設でクリントン氏が女性と一緒に写る写真を交流サイト(SNS)に投稿。「私たちは何かを見た。あなたたちが望んでいなかったものだ」と述べ、民主党の支持者らを当てこすった。
クリントン氏側も、エプスタイン氏の不正への関与を全面的に否定している。【ワシントン金寿英】
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