「親が別れて、自立するしか…」 自民・維新連立、不安抱える地方

2025/10/21 21:48 

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 高市早苗新首相が21日選出され、自民党と日本維新の会による連立政権が発足した。九州・山口の議員らからは「初の女性首相」による刷新に期待が集まる一方、難航が予想される候補者調整や公明党の支援が見通せない選挙が控えており、不安の声も聞こえた。

 松下政経塾で高市氏の3期先輩で、寮生活を共にした自民党員の近藤康夫・山口県下松市議(68)=無所属=は「元官僚や世襲ではなく、両親とも働いていた一般家庭の普通の女性がついにガラスの天井を破った」と感慨深く語った。

 近藤氏は在塾時、高市氏から、小学生の時に弟が生まれ母親に代わりミルクを飲ませて世話していたエピソードを聞いた。「今でいうヤングケアラーで、本当は弱い立場の人の気持ちが肌で分かっている。物価高で苦しむ国民の暮らしに寄り添う政策を打ち出してほしい」と期待した。

 ただ、今後の選挙の候補者調整などはこれからだ。維新が次期衆院選で11の選挙区のうち現職を含め3選挙区で候補者を決定している福岡県では、自民県連の松本国寛会長が「維新とは過去の選挙で競合したことは事実だ。極めて難しい問題だが、解決しないと前には進めない」と語った。

 昨秋の衆院選で維新候補に敗れた武田良太元総務相は毎日新聞の取材に「(候補者調整について)できるわけがない。野党も出てくるし、各政党が出たいところに出ればいい」と強調。維新の地方議員も「自民と維新からそれぞれ立てるべきだ。連立は組んでもすべての考えが同じではない。有権者に判断してもらう方がよい」と訴える。

 また、別の福岡の自民県議は公明との連立解消に「親(党本部)が別れて、泣きすがる子供(地方組織)にはなりたくない。自立するしかない」と強調した。

 一方、維新と組んだことで政権の保守色が強まったことついて、山口県のある地方議員は「自民が再び力をつけるためにふさわしい人だ」と歓迎。公明福岡県本部の西尾耕治幹事長は「公明党らしさを出しながら主張していく」と述べた。【峰下喜之、小澤優奈、宗岡敬介、池田真由香、出来祥寿】

毎日新聞

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