超短期決戦なのに…大阪で「空白」の5日間 選管「これがルール」
衆院解散を受け、各政党の前国会議員は自らの選挙区に戻り、超短期決戦の衆院選に向けて走り始めた。新しく発足した中道改革連合は公示日までの貴重な期間で、初めての政党ポスターを街頭に張る作業に追われている。
ところが、大阪府内は新しいポスターが張れない。なぜなら政治活動の規制を受ける「空白」の5日間にあたる――というのだ。
大阪は全国でも特殊な事情を抱えている。日本維新の会代表の吉村洋文・前知事が、副代表の横山英幸・大阪市長とともに突然辞職表明し、知事選と市長選が同時に実施されることになったためだ。
知事選と市長選は選挙費用を抑えるため、投開票日は衆院選の2月8日にそろえた。ところが、選挙期間はそれぞれ異なるため、告示と公示の日がばらついた。最も早い知事選が1月22日、市長選(25日)を挟んで27日の衆院選と続く。
府知事選が衆院選より5日早く始まったのがポイントだ。
衆院選が見込まれれば通常、各党は公示前から政治活動を本格化させる。これまでの実績や争点を訴えたり、政党ポスターを張り替えたりした上で選挙期間に入る。
ところが、この5日間は政治活動が制限される。公職選挙法201条の9が、知事選や市長選が行われる区域で、政党や政治団体の活動を制限しているためだ。首長選の選挙運動と紛らわしくならないようにとの狙いがある。
条文は、首長選の告示から投開票までの間、街頭演説やポスターの掲示、ビラの配布、拡声器の使用などを原則禁じている。
ただし、候補者が所属していたり、候補者を支援していたりする政党や政治団体は、一定の要件を満たせば「確認団体」としてこの期間でも条件付きで政治活動ができる。
つまり、府知事選の告示から衆院選が公示されるまでの5日間で政治活動ができるのは、知事選の立候補者の支援政党・政治団体だけになる。
府知事選に立候補しているのは、主要政党では維新公認の吉村氏だけ。府選挙管理委員会によると、維新は確認団体になっている。
22日から5日間、主要政党では維新だけが街頭演説などをできる。街頭では衆院選の立候補予定者が吉村氏とともに車上に立った。演説して手を振ったり、予定者の写真やプロフィルが書かれた「機関紙号外」を配ったりする姿も見られる。
他党にとっては活動制限となるが、府選管の担当者は「これがルールなんです」と淡々と説明する。
中道関係者は「週末に中道のポスターが届くのに、府内だけ張れない」と怒りを隠さない。府幹部の一人は「街頭での活動機会が失われるのは痛い。その代わり、支持者のところに足を運んで丁寧に状況を説明する活動になる」。ダブル選の実施を急きょ決めた吉村氏と横山氏を念頭に「独りよがりの首長選のせいで、市民との機会が失われるのはおかしい」と不満をこぼした。
自民党府連の関係者は「本来なら行える演説ができない。駅前などであいさつ程度の『顔見せ』しかできない」とぼやく。国民民主党の立候補予定者は自身の写真と国政に挑戦する理由を交流サイト(SNS)に投稿。今回の規制が及ばないネット空間に活路を求める。
ルールとはいえ、野党の府幹部は指摘する。「衆院選の意義がないことや、何が今、問題なのかを知ってもらえる機会が失われる。維新ばかりが5日間、街中で演説できるなんて不公平だ」
維新関係者の一人は「いきなりの解散で、自分たちだって十分に政治活動ができるわけではない。ただ、他党が5日間も街頭で何もできないのは、ちょっと気の毒ではある」と同情した。【矢追健介】
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