１７日午前９時半ごろ、広島県江田島市江田島町津久茂の海上自衛隊「長浜射撃場」の山林から出火した。敷地内では当時、機雷の処理を想定した爆破訓練が実施されていた。けが人は確認されていない。午後５時現在で一帯の山林が約７ヘクタール焼損し、今も燃え広がっている。

　県は自衛隊に災害派遣を要請。自衛隊や消防が消火活動を続けるとともに詳しい出火原因を調べている。

　江田島市は近くの老人ホームに避難を呼びかけ、入所者ら約１５０人は複数の高齢者施設に分散して身を寄せている。近隣の住民数人も市の施設に自主避難している。

　射撃場は瀬戸内海に浮かぶ江田島の北部にあり、海自の教育施設「第１術科学校」が管理している。

　学校によると、下関基地（山口県）に所属する第４３掃海隊が午前８時ごろ、射撃場内の地上で機雷除去を想定した訓練を始めた。火薬を使った定期的な訓練で、隊員らが訓練中に山林火災に気付いて消防に通報した。

　市消防本部などによると、射撃場から東側の山頂に向かって広範囲に燃えている。ヘリコプターや消防車両で消火活動を進めているが、鎮火のめどは立っていない。

　射撃場の周辺には住宅が点在している。周辺住民によると、午前９時ごろ、射撃場付近から「ドンドン」と音が鳴った。普段も訓練中に同じような音が聞こえるため気にならなかったが、間もなく自宅周辺に煙が充満し、山林から炎が見えたという。

　市の施設に避難した野中千代子さん（６７）は「ずっと江田島で暮らしているが、こんな大規模な山火事は経験したことがない。今晩は避難所に残る」と不安そうに話した。【中村清雅、井村陸】