16歳少年を家裁移送 相模原両親殺害 横浜地裁、成育歴を考慮

2025/02/20 19:22 

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 相模原市の自宅マンションで2024年2月、両親を殺害したなどとして、殺人などの罪に問われた長男(16)=当時15歳=の裁判員裁判で、横浜地裁は20日、刑事処分ではなく少年院送致などの保護処分が相当として、長男を横浜家裁に移送する決定を出した。検察側は懲役10年以上15年以下の不定期刑を求刑していた。

 吉井隆平裁判長は、長男が小学生の頃から父親(当時52歳)の暴力や両親の暴言を受け、料理、洗濯などの家事をさせられるネグレクトの状態でもあったと指摘。「両親殺害の責任は非常に重大だが、長男のみを責めることは相当ではない」との見解を示した。

 家裁から検察官送致(逆送)された長男を再び家裁に移送する判断については「後悔を語り、少しずつ内省を深めている。成育歴から、少年院において相当長期間にわたり専門的で個別的な矯正教育を施す方が望ましい」とした。

 弁護側は母親(当時50歳)の殺害について「殺して」と言われたとして嘱託殺人罪を主張したが、決定は、母親が長男から逃げようとしたり、第三者に助けを求めようとしたりしていたことから、殺人罪の成立を認めた。

 長男の弁護人は「育ってきた環境が理解された。必要な処遇が選ばれて良かった」と決定を評価した。

 決定によると、長男は万引きをきっかけに父親から外出を禁止され、交際相手に会うために殺害を決意。24年2月10日、自宅で両親の首などを刃物で複数回刺して殺害するなどした。【横見知佳】

毎日新聞

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