「消えた年金」で勤務記録隠れ労災不認定 16年ぶり再調査で判明
アスベスト(石綿)関連がんの中皮腫で死亡した大阪市の男性の遺族が、過去にいったん不認定とされた労災の補償を改めて請求したところ、大阪労働局が16年ぶりに再調査し、労災認定されていたことが支援団体への取材で判明した。当初不認定となったのは、2007年に問題化した「消えた年金記録」の中に、労災認定の決め手となる石綿関連会社での勤務記録が隠れていたためだった。
被害者支援団体の「関西労働者安全センター」などによると、男性は06年に70代で死亡し、遺族が同労働局天満労働基準監督署に労災を申請したが、翌年に不認定とされた。労基署は年金記録から勤務先の履歴を調べたものの、石綿との関連が認められなかったという。しかし遺族は不認定だったことを忘れて22年3月、死後5年以降が対象の特別遺族給付金を同労基署に請求した。
通常は不認定の通知から3カ月以内に不服申し立てをしなければ再審査は認められない。しかし大阪労働局は、男性が1950年代に勤務していた電気機器会社で、08年に石綿による労災認定者が出ていることを把握。異例の再調査を始めた。
その結果、電気機器会社での労災は否定されたが、新たに雇用保険の記録も調べたところ、80年代に石綿糸や石綿板を扱う焼却炉メーカーに勤務していたことが判明。労基署は24年1月、不認定処分を取り消して労災認定した。当初調べた年金記録は、この焼却炉メーカーでの加入記録が抜け落ちていた。
年金保険料の納付記録は、労基署などが職歴を把握する一般的な手段になっている。しかし、旧社会保険庁が年金番号を整理していた07年、持ち主が特定できない年金納付記録が約5095万件あると発覚。「消えた年金」として社会問題化した。今回の男性の記録も消えたうちの一つだった。
男性の遺族には過去にさかのぼって遺族補償年金や葬祭料など約3700万円が支給された。
関西労働者安全センターの酒井恭輔さんは「今回のように、勤務した会社で新たに労災認定者が出ていれば、労基署は不服申立期間を過ぎていても再調査すべきだ。年金保険の記録に空白の期間がある場合には、必ず雇用保険の記録のチェックが必要とも言える」と指摘する。
大阪労働局の担当者は不服申立期間を過ぎてから再調査した事案の数を「集計していない」と説明。「労災が認められなかった後、同じ事案に関して特別遺族給付金の請求が行われた場合などは、事案ごとに個別に判断している」と述べるにとどめた。【大島秀利】
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