奈良県の山下真知事は３日、「奈良のシカ」に関する毎日放送（大阪市）の番組について、放送倫理・番組向上機構（ＢＰＯ）に審議を申し立てたことを明らかにした。北海道大大学院文学研究院の立澤史郎招へい教員との連名で申立書を送付した。

　県によると、申し立ての対象は６月２日放送の番組「よんチャンＴＶ」のコーナーで、県が奈良公園内でシカの餌となるドングリの木を伐採していることに、シカ研究者の立澤氏が憤っているという内容。

　申立書では「（立澤氏と県に）対立関係はなく、事実と全く異なる。恣意（しい）的な編集による印象操作」などと批判している。「伐採にはシカの餌となる芝の生育を促す目的もある」という山下知事の説明などを報じなかったことも公平性に欠けると指摘した。

　放送後に批判の電話やメールが多数あったとして、県は７、８月に２度、書面で訂正放送を求めたが、毎日放送は応じていない。

　同社は３日、「報道内容に問題はないと考える。県との話し合いには今後も真摯（しんし）に対応する」との談話を出した。【山口起儀】