万博で配布→フリマサイト不正出品の徳島クーポン 使われた可能性も

2025/09/10 18:04 

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 徳島への来訪を促そうと徳島県が大阪・関西万博で無料配布したクーポンがフリマサイトで不正売買された問題が9日の徳島県議会まちづくり・魅力向上対策特別委で取り上げられた。県担当者は「残念ながら使われたものもあるのではないか」と述べ、不正利用に至った例もあり得るとの考えを示した。

 ◇取り下げ要請約120件

 山西国朗委員(県議会自民党)の質問に対し、渡部芳枝・県万博推進課長が答えた。山西委員が対応状況を尋ねると、渡部課長は「6月以降、複数のフリマサイトで出品を確認した。(その後は)サイトをこまめに監視し、確認すると、サイト運営者に取り下げを求めた。また、各交通事業者に窓口での本人確認の協力を要請した」と警戒してきた経緯を説明した。

 県万博推進課によると、サイト運営者への取り下げ要請は8月末までに約120件に上り、不正転売・譲渡のクーポンと判明し、交通事業者が利用者に正規運賃を請求した例も、複数あったという。

 ◇電子化検討も経費高額で見送り

 山西委員は不正な譲渡や利用が比較的難しい電子クーポンでなく、紙クーポンで事業に臨んだ判断も問うた。これに対し、渡部課長は事業開始前にデジタルでの管理システムを検討したものの、配布・利用が万博期間中の6カ月間のため「高度なシステムは構築経費が高額になる上、受け取りや使用の際、特に高齢者には難しい。(交通事業者の)窓口でのオペレーション(取り扱い)も複雑化するというデメリットがあった」などと述べ、長所と短所を総合判断して紙クーポンを採用した経緯を説明し、理解を求めた。

 ◇配布枚数の1割以上が利用

 正規運賃が最大で約9割も割り引かれるクーポンのため、利用者にはおおむね好評で、交流サイト(SNS)には、「徳島県、大判振る舞い過ぎません?」などと、そのお得感に驚いた投稿もあった。

 県は予算に計上した割引き原資(2500万円)が上限に近づいた8月中旬、月末での配布・利用の終了を発表した。すると、8月15日時点で9万5317枚だった配布数は月末に10万4392枚と9・5%増えただけだった。一方、利用数は5941枚から1万892枚と83%以上激増するなど「駆け込み利用」も。

 配布枚数に対する利用枚数の割合も、8月15日時点の6%台から10・4%と1割を突破した。不正譲渡・売買の問題がなければ、県の企画としては「人気商品」とも言える状況となった。【植松晃一】

 ◇徳島県クーポン「徳島県への招待状」

 徳島県は4月13日開幕の大阪・関西万博で、近畿地方から徳島までの高速バスやフェリーの乗車券・乗船券(片道)を500円で買えるクーポン「徳島県への招待状」を配る「くるぞ、万博。いくぞ、徳島。ワンコインキャンペーン」を実施した。正規運賃との差額を県が負担する仕組みで、万博の関西パビリオンの徳島ブース(ゾーン)を訪れた希望者に一人一枚配った。その場でクーポン面に名前や居住地(都道府県)を記入してもらい、譲渡・転売対策とした。

毎日新聞

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