女性にスマホ貸し出し特殊詐欺で1630万円被害 発覚回避が狙いか

2025/10/01 14:58 

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 奈良県内で起きた特殊詐欺事件で、犯人側が巧妙な理由を付けてスマートフォンを貸し出し、このスマホのみで連絡を取るよう指示していた事案があった。通信履歴が被害者の手元に残らないようにする狙いとみられ、県警は「手口が巧妙化している」と警戒を呼びかけている。

 被害者は生駒郡内に住む70代女性で、現金1630万円をだまし取られた。

 県警生活安全企画課によると、7月24日ごろ、女性の自宅の固定電話に沖縄県警の警察官を名乗る男性らから電話があり「あなたのキャッシュカードが詐欺に使われ、あなたにもマネーロンダリングの疑いがかかっている」「捜査に協力してもらうため、女性捜査員が渡すスマホで連絡を取りたい」などと言われた。女性は同29日に生駒市内の大型商業施設で「捜査員」を名乗る中年女性からスマホを受け取った。

 女性はその後、貸し出されたスマホで犯人側と連絡を取るようになった。連絡を続けるうち、検察官を名乗る男性から電話で「容疑を晴らすため、あなたの資金を調べる必要がある」として、現金を引き出して渡すように言われ、女性は8月18日~9月1日、現金計1630万円を3回に分けて「女性捜査員」に手渡したという。

 最後に現金を渡した際に、女性は求めに応じてスマホを返却。その後、不信感を覚え翌日に生駒署に相談し被害が発覚した。

 同課は「不審な電話には応答しないように」「よく詐欺に悪用される国際電話サービスの休止手続きもしてほしい」と呼びかけている。【喜多瑞輝】

毎日新聞

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