理研雇い止め訴訟 地位確認求めた男性研究者との和解成立

2025/10/11 11:47 

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 理化学研究所(本部・埼玉県和光市)から違法な雇い止めをされたとして、生命科学系の男性研究者(65)が研究チームリーダーとしての地位の確認を求めた訴訟は、東京高裁で和解が成立したことが11日、理研労働組合への取材で分かった。和解は10日付。

 2013年4月施行の改正労働契約法は、有期労働契約が通算5年を超えると無期転換を申請できると定めており、研究職は特例法でその期間が10年超とされている。

 男性は11年以降、10年以上理研で研究に従事してきたが、通算契約期間が10年の上限に達するとして、理研から23年3月末で雇い止めされた。男性は22年7月、理研などを相手取り提訴したが、理研は理事長特例で男性を研究リーダー職から上級研究員に降格させた上で雇用を継続。男性は研究スタッフを失い、研究上大きな支障が出たとして、地位確認と損害賠償を求め、23年7月にあらためて提訴し直した。さいたま地裁は24年12月、地位確認の訴えを退け、損害賠償請求を棄却。その後、男性側が控訴していた。

 和解内容は明らかにしていない。理研労働組合の金井保之執行委員長は「詳細は来週以降、弁護団からの声明文で報告する」とした。男性は「今回の裁判の結果が任期制研究者の雇用条件の改善につながることを期待します」とコメントした。【垂水友里香】

毎日新聞

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