長生炭鉱 市民団体、2月までに政府動かなければ「独自でDNA鑑定」
太平洋戦争中の1942年に海底坑道の水没事故があった「長生炭鉱」(山口県宇部市)で今年8月に犠牲者とみられる遺骨が見つかったことを巡り、遺骨を収容した地元の市民団体「長生炭鉱の水非常(みずひじょう)を歴史に刻む会」が23日、国会内で関係省庁の担当者と面会した。刻む会は来年2月までに遺骨のDNA鑑定が行われない場合、独自で鑑定を始める方針を示した。
これまでのやり取りで警察庁は韓国政府と調整の上で鑑定をする意向を示しているが、「韓国側と意思疎通をしている」として、実施の具体的な時期などは明らかにしなかった。
刻む会は来年2月、国内外のダイバーが参加する大規模な遺骨調査、収容を予定している。井上洋子代表理事(75)は「たくさんのご遺骨が出てくる可能性がある。そこまでに日韓が協力してやると決断してほしい」と求めたが、外務省は「いつまでにと申し上げることはできない。韓国政府とは緊密に意思疎通している」と述べるにとどめた。
また刻む会が求めている調査と収容の支援について、厚生労働省は「安全性への懸念を払拭(ふっしょく)できていない」として、従来の立場の説明を繰り返した。
水没事故では朝鮮半島出身者136人と日本人47人が死亡した。刻む会と韓国側は計83人分のDNAのデータを保有している。今年10月には、12月19日までにDNA鑑定が行われない場合は、刻む会での鑑定を検討するとしていた。
面会後の記者会見で、刻む会の上田慶司事務局長(67)は「1月に予定されている日韓首脳会談、最終的には2月の遺骨収容までに日韓が共同でやることが確認できなかった場合、刻む会で独自に鑑定する。2026年を必ず遺骨を遺族に返す年にする」と述べた。【肥沼直寛、栗原俊雄】
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