原爆の遺伝的影響解明へ 放影研が被爆2世のゲノム解析開始

2025/12/23 20:05 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 原爆による放射線被ばくの影響を追跡調査している日米共同研究機関「放射線影響研究所」(放影研)は23日、広島研究所(広島市南区)で記者会見を開き、親の被爆が子のDNAに与える影響を調べるゲノム(全遺伝情報)解析を開始したと発表した。5年後をめどに調査結果をまとめる。

 放影研によると、1985年から定期的に血液の提供を受けた広島と長崎の被爆者の家族のうち、浴びた放射線量が多い被爆者の子ども290人と、比較的少ない被爆者の子ども290人、それぞれの両親の総勢約1400人が対象となる。今回、確認されたDNAの変化が放射線の影響によるのかは判別できず、特定の病気にかかりやすいかどうかは明らかにできないという。

 放影研の神谷研二理事長は「倫理的課題を検討し、慎重に取り組んできた。放射線がゲノムに及ぼす影響の知見を集積し、遺伝的影響の解明に寄与することを期待する」と話した。【井村陸】

毎日新聞

社会

社会一覧>