希少難病・表皮水疱症、国内に約1000人 患者団体「現実知って」
「この世に存在する痛みの中でも最も残酷」ともされる症状を伴う「表皮水疱(すいほう)症(EB)」は、国内患者が500~1000人と推定される希少難病だ。
患者が少なくあまり知られていない一方、外見上、皮膚に傷ができるなどするため、当事者らは症状だけでなく偏見やいじめに苦しむこともあり、病気の認知の広まりを願っている。
情報発信や処遇改善などに取り組む患者団体のNPO法人「表皮水疱症友の会デブラジャパン」が2020年にまとめた実態調査には、患者や家族から寄せられた実体験がつづられている。
「小学校で『臭い』『汚い』の暴言が多数」「同級生男子からばい菌扱いの嫌がらせ。きもい、うざい、死ね等言われた」――。
デブラジャパンなどによると、EBは皮膚の表皮とその下の真皮を接着させるたんぱく質が機能しなくなる。ぶつかったり、寝返りをしたりした時の少しの刺激や摩擦で皮膚がはがれたり、ただれたり、水ぶくれができたりする。
遺伝性の病気で、遺伝子の異常から生まれつき症状が出る。人に感染することはない。
根治的治療法はなく、対症療法として傷んだ部分を回復するために皮膚を清潔に保ち、保湿剤を塗り、肌を保護するため「創傷被覆材」を巻くなどする。重症化すると、感染症や皮膚がんといったリスクが高まる。
そうした病状と向き合う中で、無理解や配慮のなさからぶつけられる言動は、当事者や家族の心身を傷つける。
自身も当事者であるデブラジャパンの宮本恵子代表理事(70)=札幌市=は「この病気を知っている人が少ないのが現実。医師でも知らない人がいる。でも諦めていては何も始まらない。少しでも理解してもらえるように情報発信したい」と語り、こう呼びかけた。
「隠れて生きる必要はない。でも、周りから冷たい目で見られると心が折れる。だから、理解してほしいのです」【谷口拓未】
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