「生涯ゴールデンスラム」の小田凱人が喜び 「虹は雨の後でしか」

2025/09/09 20:51 

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 全米オープンテニス車いすの部男子シングルスで初優勝し、4大大会とパラリンピックを全て制覇する「生涯ゴールデンスラム」を達成した小田凱人(ときと)選手(19)=東海理化=が9日、帰国した。東京都内で記者会見し、「虹は雨の後でしか見られません。僕は自分のことを信じられなくなったことも、愛せなくなったこともない。だから僕は虹を見られた」と独特の表現で喜びを語った。

 6日に行われた決勝は、最終セットがタイブレークまでもつれ、相手に計4回マッチポイントを握られる激戦を制した。「(優勝する)想像はしていた。あんな(激しい)試合で勝ったことへの喜びがある」と振り返った。

 生涯ゴールデンスラムは、車いすの部の男女シングルス(上下肢障害を除く)で史上3人目。男子では2022年に38歳で達成し、引退後に国民栄誉賞を受賞した国枝慎吾さん以来の快挙だった。

 愛知県出身の小田選手は9歳で左股関節に骨肉腫を発症し、車いす生活になった。入院中に見た国枝さんの映像に憧れ、10歳から車いすテニスを始めると、めきめきと上達して15歳でプロ転向を宣言した。

 国枝さんが引退した直後の23年、全仏オープンで初めて4大大会を制し、ウィンブルドン選手権も優勝。昨年は全豪オープンを勝ち、パリ・パラリンピックでも金メダルを獲得した。

 今後について小田選手は「(健常者を含めて)誰でも車いすに乗ってテニスができる。いつか、小学校の一輪車の横に車いすが並んでほしい。もっと強い人が出たら、僕も、もっと燃える。世界が広がる気がする」と新たな目標を口にした。【川村咲平】

毎日新聞

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