日米関税交渉合意 引き下げ見返りに米国への金融支援 80兆円規模

2025/07/23 16:46 

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 日米両政府は22日午後(日本時間23日午前)、トランプ政権の高関税措置を巡る協議で合意したと発表した。最大の焦点だった自動車関税は15%に引き下げられる。8月1日以降に25%が適用される予定だった「相互関税」は15%となる。関税引き下げの見返りに、日本側は5500億ドル(約81兆円)を上限にした公的な金融支援で、日本企業による米国への投資を後押しする。

 赤沢亮正経済再生担当相が22日にホワイトハウスでトランプ大統領と会談して合意した。自動車関税は4月に発動された25%の半分(12・5%)に既存の2・5%を加えた税率で、自動車部品も対象となる。日本より先に合意した英国は年間10万台まで10%だったが、日本には数量枠が設けられなかった。

 相互関税は各品目に課されていた関税率を含めて15%に引き下げるが、現在適用されている一律分(10%)からは引き上げられる。先に合意した4カ国と比較すると、英国(10%)より高いが、ベトナム、インドネシア、フィリピン(19~20%)より低い。石破茂首相は記者団に対し「対米黒字を抱える国で最も低い。きわめて重要な合意だ」と述べた。

 一方、50%の鉄鋼・アルミニウム関税は引き下げられなかった。赤沢氏によると、トランプ政権が新たに関税発動を予定する半導体や医薬品については、他国より厳しい条件にしないとの確約を得たという。

 関税引き下げと引き換えに日本側が提供するのが、米国への投資支援だ。半導体や人工知能、造船、エネルギーなど日米の経済安全保障にとって重要な分野の対米投資プロジェクトで、国際協力銀行など日本の政府系金融機関が出資や融資、政府保証を供与する。

 この他、米国製の自動車を追加安全試験なしに輸入することを容認。米国産のコメの輸入拡大については、日本が各国から一定量を無税で輸入する「ミニマムアクセス(最低輸入量)」の枠内(年約77万トン)で米国からの輸入を増やす。

 合意の発効日は未定だが、日本政府は相互関税上乗せ分の発動停止期限である8月1日に間に合うよう正式な文書の策定など詰めの作業を急ぐ。【大久保渉(ワシントン)、金寿英(同)、内田帆ノ佳】 

毎日新聞

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