日EU首脳会談 「競争力連合」発足で合意 米中にらみ自由貿易主導

2025/07/23 20:57 

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 石破茂首相は23日、欧州連合(EU)のコスタ大統領、フォンデアライエン欧州委員長と首相官邸で会談し、日本とEUが産業強化に向けて包括的に連携する枠組み「競争力アライアンス(連合)」を発足させることで合意した。レアアース(希土類)の輸出規制などによる中国の経済的威圧や、米国の関税措置で世界経済の不透明感が増す中、自由で公正な経済秩序を主導する狙いだ。

 石破首相は会談で「日EU関係は、かつてなく強固な志を同じくするパートナーとなった。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守るべく緊密に協力したい」と述べた。

 日EU首脳は共同声明を発表。外務・経済担当閣僚間の協議枠組み「経済版2プラス2」をスタートさせるほか、重要鉱物のサプライチェーン(供給網)に関する協力を強化することでも一致した。

 防衛分野では、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分との認識を表明。日欧の防衛産業の連携を強化する「日EU防衛産業対話」の早期創設を目指す。防衛協力に必要な機密情報を交換できる情報保護協定の正式交渉も開始する。

 宇宙分野では、小型人工衛星を多数運用して目標を探知・追尾する「衛星コンステレーション」の開発を加速させる。

 東シナ海・南シナ海で覇権主義的な動きを強める中国や北朝鮮の核・ミサイル開発、ロシアのウクライナ侵攻などの地域情勢も協議した。

 日EU首脳会談は1991年から定期的に開催し、第2次トランプ政権発足後は初めて。前回は2023年7月、ベルギー・ブリュッセルで実施した。

 EUの両首脳は24日、中国の習近平国家主席、李強首相とも北京で会談する予定。【田所柳子、内田帆ノ佳】

 ◇日EU首脳会談のポイント

・予測可能なルールに基づく自由で公正な経済秩序を維持・強化

・産業強化へ「競争力アライアンス」発足

・欧州とインド太平洋の安全保障は不可分との認識を共有

・「日EU防衛産業対話」創設に向け協力

・情報保護協定の正式交渉を開始

・攻撃などの探知・追尾に多数の小型衛星で対応する「衛星コンステレーション」開発

毎日新聞

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