国連、「効率化」目指し改革へ 事務総長「DOGEとは関係ない」

2025/03/13 09:07 

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 今年創設80年を迎える国連のグテレス事務総長は12日、厳しい財政状況に対処するため、組織の「効率化」を目指して構造改革に乗り出すと発表した。国連本部での記者会見で「21世紀にふさわしい、より強力で効果的な国連を実現する」と述べた。

 新たに作業部会を発足させ、現在の体制における効率化と改善可能な点の洗い出し▽加盟国の決定(マンデート)に基づく活動の実施状況の見直し▽国連システムの構造改革とプログラムの再編成――の三つの分野で包括的な評価を加盟国に提示する。無駄をなくし、限られたリソースをデジタル分野など新たな課題に重点的に振り分けることを目指す。

 グテレス氏は、記者団から米トランプ政権で実業家イーロン・マスク氏が率いる新組織「政府効率化省(DOGE)」との類似性を問われ、「何の関係もない。プロセス、方法論、目的がまったく異なる」と否定した。

 国連は加盟国に義務づけられた分担金と、政策に応じた各国の任意の拠出金を財源に活動する。2025年の通常予算は約37億2000万ドル(約5513億円)で、人道、政務、軍縮など国連の幅広い活動を支える。

 分担金の割合は国民総所得(GNI)などを基に決まり、国別では最多の米国が上限の22%、2番目の中国がこれに迫る20・004%、3番目の日本は6・930%となっている。分担金の未納や支払いの遅延は国連財政の不確実性を高める。国連の集計によると、今月11日時点で今年の分担金をすべて支払っている国は、193加盟国のうち75カ国にとどまる。

 国連高官は、将来の人員削減の可能性について「現時点では何も言えない」としつつ、「すべての選択肢が議論のテーブルにある」と付け加えた。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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