トランプ氏とネタニヤフ氏にズレ 中東外交で「イスラエル外し」
トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の間に、不協和音が漂い始めている。「蜜月関係」とみられた両者だが、イランの核開発問題やパレスチナ自治区ガザ地区の戦闘を巡り、立場の違いが次第に鮮明になった。中東歴訪中のトランプ氏は今回、湾岸諸国との軍事・経済関係の強化を優先し、域内で最も重要な同盟国であるイスラエルを訪問先から外した。
両者の関係は当初、順風満帆だった。今年2月の首脳会談では、トランプ氏がガザ地区の住民を域外に移住させたうえで再開発を進める構想を披露し、ネタニヤフ氏も「傾聴に値する」と歓迎の意向を示した。さらに3月、イスラエルがガザでの戦闘を再開した際もトランプ氏は明確に反対せず、第1次政権と同様の蜜月関係が続くとみられた。
だが、その後はズレが目立ち始める。トランプ氏は4月、核開発問題を巡ってイランとの協議に乗り出すと発表。イラン核施設の空爆計画を提案していたイスラエルにとっては、想定外の動きだった。トランプ氏が「ウラン濃縮を認めるかどうかは決めていない」と発言したと伝えられると、核兵器転用を警戒するネタニヤフ氏は反発。今月8日には、イスラエルのダーマー戦略問題担当相が、米国のウィットコフ中東担当特使に懸念を伝えたとされる。
イエメン情勢を巡っても、イスラエルは「蚊帳の外」に置かれた。トランプ氏は6日、イエメンの親イラン組織フーシ派との停戦合意を発表し、紅海などでの「航行の自由」が確保されたと成果を強調。ただ、合意にイスラエルへの攻撃停止は含まれておらず、トランプ氏は「今後議論する」と述べるにとどまり、イスラエルは単独での対応を強いられている。
足並みの乱れは、ガザ地区の人質問題でも露呈した。イスラム組織ハマスは12日、米国籍を持つイスラエル兵を解放したが、これは仲介国カタールを通じたウィットコフ氏とハマス幹部の直接対話で実現したものだったという。
なぜ、トランプ氏はここまで露骨な「イスラエル外し」に傾いたのか。米国はイランの核開発問題などで「ディール(取引)」をまとめて中東情勢の安定化を図ろうとしているが、ネタニヤフ氏はそうした戦略の「障害」とみなされている可能性がある。米NBCによると、トランプ氏は、イスラエルのガザ戦闘拡大計画について「無駄な努力だ」と一蹴したという。
イスラエルメディアによると、ウィットコフ氏はガザに残る人質の家族との会合で、人質解放よりもハマス壊滅を優先するネタニヤフ氏への不満をあらわにした。「これまでは人質が戦争の代償を払ってきた。今後はイスラエルが代償を払うことになる」と発言し、イスラエルを交渉の枠外に置いて、中東和平を主導する構えをにじませた。イスラエルは13日、停戦協議のため交渉団をカタールに派遣したが、これはウィットコフ氏の要請によるものだったとされる。
複数の米メディアなどは、トランプ氏が近く、ガザでの戦闘を巡り新たな停戦案を提示する可能性があると報じている。これを意識してか、ネタニヤフ氏は13日、「一時的な停戦なら構わない」と述べた。果たしてトランプ氏は、ネタニヤフ氏がのまざるを得ない提案を示すのか。それとも、戦闘拡大に理解を示すのか――。何を仕掛けてくるか分からないトランプ氏に対し、ネタニヤフ氏は身動きが取りづらい状況にある。【エルサレム松岡大地】
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