韓国・戒厳令から1年 保守議員25人が謝罪「国民に苦痛与えた」

2025/12/03 20:28 

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 保守系の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による戒厳令宣布から1年を迎えた3日、保守系最大野党「国民の力」の国会議員25人が戒厳令を「反憲法的・反民主的行動だった」と謝罪する文章を発表した。保守の岩盤支持層には戒厳令を支持する人も多く、陣営内で対応が分かれた。

 謝罪文には党内の中道保守や若手議員が名を連ねた。「非常戒厳を事前に防ぐことができず、国民に大きな苦痛と混乱を与えた」と陳謝し、戒厳令を違法と判断した憲法裁判所の決定を「尊重する」とした。また、尹氏ら戒厳令を主導した勢力と「政治的に決別する」と断言した。

 謝罪の背景には、国民の力が戒厳令を支持する勢力と手を切れず、人気が低下していることがある。

 世論調査会社「韓国ギャラップ」が11月25~27日に実施した世論調査では与党「共に民主党」の支持率が42%だったのに対し、国民の力は24%だった。また、尹氏について「過ちが多い」と答えた人が77%で大統領歴代でトップ。戒厳令について国民の大半が否定的に見ている。

 だが、尹氏を支持する保守の岩盤支持層に配慮して、党は戒厳令を否定するメッセージを出せずにいた。このため、党内の中道派からは「謝罪と反省のメッセージを出すべきだ」との声があがっていた。

 一方、報道によると、謝罪文を作成した議員らは、文書作成後、党に所属する国会議員107人全員に連名の意思を確認したという。同意したのは全体の約4分の1だけだった。

 強硬派の張東赫(チャン・ドンヒョク)党代表はフェイスブックで戒厳令を「議会の暴挙に対抗するためだった。戒厳に続く弾劾は連続した悲劇を生み、国民と党員に失望と混乱を与えた」と投稿。張氏は「保守政治を新たに設計する」と強調し、政権非難を展開した。謝罪はなかった。【ソウル日下部元美】

毎日新聞

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