自民総裁選管、「やらせ」問題で厳重注意か 対象や内容明かさず

2025/09/30 18:18 

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 自民党総裁選挙管理委員会は30日、総裁公選規程に抵触しかねない事案などがあったとして、立候補している複数の陣営を厳重注意したと公表した。小泉進次郎農相を称賛する「やらせコメント」をインターネット上に書き込むよう陣営側が例文を示して支援者らに要請した問題が対象に含まれるとみられるが、選管は厳重注意の対象や内容を明らかにしていない。

 総裁選管の逢沢一郎委員長名で29日付で文書が出された。文書によると、禁止事項に該当する事案や、総裁公選規程に抵触しかねない「陣営間の感情的対立をあおる恐れのある事案」について、逢沢氏がそれぞれの陣営の選挙責任者に厳重注意を行ったとしている。

 一方、党内からは「国政選挙だと皆やっている」「他の陣営の書き込みだってひどい」との声も上がっており、組織的な「やらせ行為」が常態化していた可能性がある。

 街頭演説を盛況に見せるために業界団体などに動員をかける「サクラ」は古くから繰り返されてきたが、「現代版サクラ」ともいえるネット上の行為がどこまで許容されるのかは不透明なままだ。選挙の公正さや世論形成をゆがめる懸念も指摘される。だが、党総裁選管は厳重注意の内容や対象について「回答できない」と詳細を明かしていない。

 党の姿勢からは、曖昧な対応で幕引きを図りたいとの意図が透ける。小泉氏以外の4候補もこの問題を追及する考えを示していない。

 一方、立憲民主党の野田佳彦代表は「国政選挙でもあったのではないか。きちんと調査してほしい」と述べ、自民に実態調査を求めている。【鈴木悟】

毎日新聞

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