公金支出「国会議員のルール甘い」 維新問題で厳格化、地方議員苦言
日本維新の会の国会議員らが秘書や党議員が代表を務める会社に公費を支出していた例が相次いで見つかった。こうした公費の使われ方は、政治資金収支報告書などで国民がチェックできるようになっている。しかし、堺市のある議員は「自治体議員の政務活動費には厳しい使途ルールがあるのに、国会議員のそれは甘い。政党を超えて、多くの自治体議員がそう思っているはず」と苦言を呈する。
堺市議会を巡っては2015年、大阪維新の会に所属していた市議2人が実際にはしていないのに、議会報告チラシの作成や配布費用として多額の政活費を不正に支出していた問題が持ち上がった。
これを受けて同市の政活費の収支報告のルールが厳しくなり、チラシなどの印刷や配布の支出は見積書や納品書の写し、印刷物の現物などを添付するようになった。さらに10万円以上の物品購入は、複数の業者から見積もりを取る必要がある。政務にあたらないため、政活費を議員自身に寄付することは許されない。
一方、国会議員に毎月100万円支払われている調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)はかつて、使途公開の義務もなかった。だが、8月から支出先や目的、金額などを、領収書の写しをつけて議長に報告するルールに変わった。とはいえ提出対象は1万円超の支出に限り、不透明性が残る。議員の資金管理団体への寄付も認められる。
自治体議員の政活費は、収支報告が市民の目に届きやすいこともあり、不正な使用が明るみに出てルールが厳罰化される例がある。収支報告に1円以上の支出すべての領収書添付を義務づけるケースも少なくない。
◇「会派で点検」を提案
政治資金問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は「自治体議員の政活費に比べると、国会議員の調査研究費の支出を巡る基準が緩いのは明らか」と指摘。「国会は議員数が多く、事務局のチェックも大変になる。調査研究費は一人一人に渡すのではなく、会派ごとに渡し、会派が責任をもってチェックする形にしたほうが不正を防げるのではないか」と提案した。【矢追健介】
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