火星の岩石に微生物の痕跡?発見 NASA「生命の兆候の可能性」

2025/09/11 17:31 

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 米航空宇宙局(NASA)は10日、火星探査車「パーシビアランス」が採取した火星の岩石に、微生物の痕跡の可能性がある物質が見つかったと発表した。成果は同日、英科学誌ネイチャーに掲載された。NASAのダフィー長官代行は記者会見で「これまで火星で発見された中で最も明確な生命の兆候かもしれない」と話した。

 パーシビアランスは2021年2月、火星の北半球にある直径45キロのクレーターに着陸。24年7月にクレーター内のかつて川があったとされる渓谷から岩石を採取し、搭載していたX線装置などで観察して結果を地球に送った。

 すると探査車が撮影した岩石の高解像度画像に、ヒョウ柄のような斑点模様が確認された。詳細に分析すると、地球上では腐敗した有機物の周囲で見られる水を含むリン酸鉄や、特定の微生物が代謝で生成する硫化鉄が含まれていた。

 また岩石には、有機炭素や硫黄、酸化鉄、リンが豊富に含まれていることが分かった。こうした物質は微生物の代謝に必要なエネルギー源になった可能性がある。

 ただ、リン酸鉄や硫化鉄は、生命活動がなくても作られることがあるという。成果を取りまとめたNASAプロジェクト・サイエンティストのケイティ・モーガン氏は「今回の結果を生物の関与なしに説明できる可能性は低い」としつつも、生物と関係がない可能性も排除できないとの見解を示した。

 より詳しく分析するためには岩石などの試料を地球に持ち帰って分析する必要があるが、トランプ政権は予算削減のために持ち帰り計画の中止を打ち出している。一方で中国は生命の痕跡の発見を目指して28年ごろに火星に無人探査機を打ち上げ、30年ごろに試料を持ち帰る計画を立てている。【信田真由美】

毎日新聞

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