クマ出没件数、4~7月は過去最多 ブナの実凶作で秋に被害拡大懸念

2025/09/11 19:22 

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 全国各地でクマによる被害が相次ぐ中、環境省などは11日、被害防止に向けた関係省庁連絡会議を開いた。今年4~7月のクマの出没件数(速報値)は本州・四国で1万2067件と2009年度の統計開始以降最多になったことが報告された。今秋はクマの餌となるブナの実の凶作が見込まれ、さらなる被害の拡大が懸念される。

 環境省によると、これまで同時期に最も出没が多かったのは24年4~7月の1万861件だった。今期、特に出没が多いのは東北地方で、東北ではブナの実の深刻な不作が予想されているという。

 一方、人身被害の件数は、4~8月の速報値で計62件(被害者数69人、うち5人死亡)と、例年並みの地域が多かった。ただし、7月の被害の内訳をみると、市街地など人の生活圏での発生が約7割と高い傾向がみられたという。

 会議で講演した、野生動物管理に詳しい横山真弓・兵庫県立大教授は、ブナの実など堅果類の凶作状況によっては出没がさらに増え、過去最悪の計198件の人身被害が出た23年度と同様の状況になる可能性があると指摘。「出没件数が多ければ死傷者も増えることがデータで示されている。柿の実などの誘因物を減らしたり、防護柵を設置したりする被害防除策はあまりにクマの数が多いと効かないため、管理可能なレベルまで個体数を減らす必要がある」と話した。【高橋由衣】

毎日新聞

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