なぜ維新が激戦区・京都で圧勝? 裏側に見えた「三つの鍵」
「全国屈指の激戦区」とされた参院選京都選挙区(改選数2)は、日本維新の会新人の新実彰平氏(36)が約33万票を得て初当選した。2位の自民党現職に約14万票の大差をつけ、陣営も「想定外」と驚く圧勝。全国的に維新の党勢は足踏みだったが、なぜ京都では躍進となったのか。要因を探ると、三つの鍵がみえてきた――。
維新が同選挙区に公認候補を立てて初挑戦したのは2013年。16、19年は立てず、22年は擁立したが敗れた。議席を獲得したのは今回が初めてとなる。
一つ目の鍵は、維新に昨秋合流して共同代表となった前原誠司衆院議員(京都2区選出)の存在だ。「全国政党化をけん引する地歩を築く。日本維新の会は大阪だけではない。関西の中核が京都になり、夢をつくっていこう」。参院選の公示を控えた6月21日、前原氏は事務所開きで地方議員らに呼び掛けた。
決意は自ら汗をかくことでも示し、17日間の選挙戦では初日から最終日までほぼ連日応援入り。新実氏とマイクを握り、支持者を紹介して握手させた。衆院で所属政党を変えながら選挙区で連続9回当選を誇る前原氏は、「前原党」とも称される固い地盤を持つ。「新実さんのお母さんが私の二つ下と聞いてがっくり」と笑わせつつ、息子のように連れ回して支持を集めた。
二つ目の鍵は、大阪への対抗心からかつて「維新ぎらい」とされた京都でも支持を広げてきた実績がある。府内の地方議員は現在36人。23年の統一地方選を経て、離党もあったが22年の参院選時の倍以上になっている。地方議員がそれぞれの地域に新実氏を連れ、大車輪となった。
前回選で維新候補は選挙戦を有利に進めたが、最終盤に故安倍晋三元首相が銃弾に倒れる事件なども影響したとされ失速。陣営幹部の上倉淑敬(きよゆき)府議(京都市伏見区選出)は、前回選では開催できなかった個人演説会を、今回は10カ所以上で開いたことを「議員が各地域で頑張ってきた成果」と評価しつつ、苦杯をなめた教訓から引き締めも繰り返し図った。
そして三つ目の鍵は「キャリアと人柄」(上倉氏)。関西テレビのアナウンサーだった新実氏は、知名度があっただけでなく、伝えることのプロ。訴えの柱とした社会保障制度改革を、少子高齢化で人口ピラミッドが様変わりした現状から説明し「分かりやすい」と聴衆を引きつけた。
新実氏には「政策をロジカルに丁寧に伝え、理解いただいた上で選んでいただきたい」との信念があった。自身は「現政権やこれまでの政治に対する批判の受け皿になった」と総括するが、自民現職のいわゆる裏金問題や歴史認識はあえて非難しなかった。共同通信の出口調査で全世代から偏りなく票を得ていた。
◇知事選はどうなる?
京都での維新の躍進は続くのか。来春に予定される知事選への対応が早くも注目される。知事選は長く、共産以外の与野党で組む「オール京都」で統一候補を擁立し、共産系候補と争う構図が続いてきた。非共産系に支えられ、参院選で自民現職の応援に立った西脇隆俊知事はまだ態度を明らかにしていない。
投開票から一夜明けた21日、新実氏は取材に語った。「西脇知事以上に京都府を前に進められると判断すれば候補者を立てるし、西脇知事のほうが優れていると判断すれば静観ないしご支援する。シンプルにそういうことだと思います」【南陽子】
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