核廃絶「国民的取り組みを」 冷戦下で分裂の2団体、被団協と声明

2025/07/23 19:43 

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 被爆80年に合わせて、1960年代に分裂した原水爆禁止日本協議会(原水協)と原水爆禁止日本国民会議(原水禁)、2024年にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の3団体が23日、共同声明を発表した。広島と長崎の被爆の実相を受け継いで広げる国民的な取り組みを呼びかけている。

 核廃絶運動は東西冷戦下に旧ソ連の核実験容認などを巡り路線対立が深まり、共産党系の原水協と旧社会党・総評系の原水禁に分かれて活動してきた。今回の共同声明は日本被団協の呼びかけで実現。3団体による共同活動は初めてとみられる。

 声明では、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルと米国によるイランの核関連施設攻撃に触れ、核兵器廃絶を訴えた。日本政府には核兵器禁止条約に署名・批准するよう求め、あらゆる立場を超えて核兵器の非人道性を日本と世界で訴えることが重要だとした。

 3団体はこの日、東京都内で記者会見を開いた。日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(93)は原水協と原水禁が活動を共にしてほしいと願っていたといい「(声明は)本当に感慨深いことだ」と述べた。原水協の土田弥生事務局次長(68)は「被爆の実相を伝えることは人類の課題。3者で活動できることをうれしく思う」。原水禁の谷雅志事務局長(45)は「今回の声明が地域で運動に取り組む人たちの追い風になってほしい」と語った。

 参院選東京選挙区で当選した参政党のさや氏が「核武装が最も安上がり」として核保有を主張していることについて、田中氏は「日本の政治家が核を使うことを前提とした議論をするのは恥ずかしい」と批判した。【白川徹】

毎日新聞

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