ビリー・アイリッシュさん、会場中央360度で見せた 3年ぶり来日公演

2025/09/11 21:09 

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 繊細かつ大胆な歌声とパフォーマンスが、聴衆を一気に魅了した。

 2020年のグラミー賞で最優秀レコード賞などの主要4部門を含む5冠を達成した米国の人気歌手、ビリー・アイリッシュさん。

 約3年ぶりとなる来日公演「HIT ME HARD AND SOFT」を8月、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市)で開催した。

 2夜限りの特別公演だった。

 オープニングアクトに登場したのは世界でも活躍する日本のトップアーティストだ。

 初日が2人組ユニット「YOASOBI」、2日目は藤井風さんが務め、公演に花を添えた。

 2日目、藤井さんのパフォーマンスが終わると、会場中央の360度を観客が取り囲む長方形のステージに立方体の箱が組み立てられていく。

 観客の期待が高まる中、箱の上にビリーさんが登場した。

 うねるような歓声で出迎えられたビリーさんのパフォーマンスは、映画「千と千尋の神隠し」から着想を得たとされる「CHIHIRO」で幕を開けた。

 会場の熱気が上がる中、ささやくような甘さを持ったアンニュイな歌声を響かせた。

 今回はツアーと同名の新作アルバム(24年)に収録された楽曲を中心に展開し、「LUNCH」や「THE DINER」などを披露した。

 聴衆のスマートフォンのライトが星空のように輝く中、バラード「WILDFLOWER」を繊細に歌い上げた。

 また、グラミー賞で最優秀楽曲賞などに輝いた代表曲「bad guy」ではステージを駆け回り、聴衆と一緒になって楽しげに跳びはねた。

 久しぶりの日本公演。ファンの歌声や歓声をかみしめるような表情で聴き入るビリーさんのまなざしは柔らかい。

 ファンを大事にしている様子はステージの作りからも垣間見えた。

 中央のステージからビリーさんが見えなくなったかと思えば、突然会場後方の特設ステージに現れ、手持ちのカメラで客席を撮影したり、通路を駆けながらファンとハイタッチしたり。

 縦横無尽に会場やステージ上を駆ける姿から、ファンと共に楽しもうとする気概が伝わってきた。

 最後は数々のチャートを独占した「BIRDS OF A FEATHER」を観客と一緒に歌って、ファンとの時間を締めくくった。

 アコースティック編成やピアノ演奏など多彩な表現が光り、大盛況で幕を閉じた約3年ぶりの来日公演。

 「東京ありがとう! また会おうね! ありがとう! 愛している!」

 ビリーさんは再会を誓うと、会場を後にした。【河慧琳】

毎日新聞

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