「民主主義実現への強い呼びかけだ」 ノーベル平和賞のマチャド氏

2025/10/11 10:18 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ノーベル平和賞の受賞が決まったベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏は10日、X(ツイッター)に声明を投稿した。「この賞は、国内外のベネズエラ人にエネルギーと自信を注ぎ込む比類なき後押しになり、ベネズエラにおける民主主義への移行を今すぐに実現せよという強い呼びかけだ」と述べ、感謝と歓迎の意を表明した。

 ベネズエラでは1999年から、反米左派のチャベス前大統領と後継のマドゥロ大統領が政権を握る。独裁色を強める3期目のマドゥロ政権下では、抗議活動の弾圧が続き、人権侵害も指摘されている。

 マチャド氏は声明で「ベネズエラ人は26年間、国民を隷属させ、国の精神を打ち砕くことに執着する専制政権の暴力と屈辱に苦しんできた」と説明。「拘束、拷問、強制失踪、法外な処刑が行われてきた。これらはすべて人道に対する罪であり、国家によるテロだ」と主張し、「数千人の命が犠牲となり、数百万人が祖国を追われた」と嘆いた。

 だが、今回の受賞を「世界の民主主義コミュニティーが私たちの闘いを理解し、共にあることを示している」と捉え、「私たちは目標の達成に非常に近づいている」と強調した。

 そして「自由なくして平和はありえない」とした上で「ベネズエラは自由を取り戻す」と決意を新たにした。

 一方、声明に先立つXへの投稿では、マチャド氏は「この賞を、苦しむベネズエラの人々と、私たちの大義を決定的に支援してくれたトランプ米大統領にささげる!」とも述べていた。

 米国は、大統領選で不正に「当選」した疑いのあるマドゥロ氏の正統性を認めていない。

 トランプ氏もマドゥロ氏との対決姿勢を強め、第1次政権時代から経済制裁を科しているほか、今年9月には米軍がベネズエラから出航した船を「麻薬運搬船」だとして公海上で爆撃した。一方でトランプ氏はマチャド氏への支持を表明し、マチャド氏もトランプ氏への敬意を示してきた。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

国際

国際一覧>

写真ニュース